イレブンガールズアートコレクション(EGC)は2010年8月末に産声を上げました、日本初の女性アーティストユニットです。

 

 これは日本の美術大学の男女比が3:7を超え、更に受験者数が激減している事を鑑み(10年で60%減)、次世代の日本アート界のスターを育成すべく行われたものです。

 

 美術専門教育の現場における女子が70%を超えたと言う事は20年~30年後にこの国のアート界を牽引するのは女性と言うことになります。それを予想し、現場感覚をもった女性アーティストを今から育成する必要がありました。そして同時に、日本ではあまり正面から語られることが無かった「作品収入で経済的に自立すること」をメインテーマに掲げています。

 

 EGCの活動場所は全国の百貨店に設置されている美術画廊です。従来この様な会場は、画壇の重鎮たちが占めているものでした。画壇で推挙された“45歳の新人”がやっと展示出来るような場所だったと言えます。そこを集団の力で突破したのがEGCで、現在、全国の百貨店で展開されています若手ブームの魁となったのもこのEGCでした。

 

 女性が一生アーティスト業を続けることもこの国では難関の一つでした。女性は多くの場合、結婚・出産があり、社会に出てから20年下積みを重ねての百貨店デビューと言うのは物理的に困難でした。女性ユニットである以上、この結婚・出産後の社会復帰も乗り越えるべき最初の大きな課題でした。

 

 EGCは3年の活動を目安に「卒業」をします。卒業と言うのはイコール、百貨店での個展やそれに準ずる仕事の獲得です。

 

 メンバーでは既に22名が百貨店の個展を獲得しています。また、大手専門誌で連載と言う形で新作発表の場を得たものや企業のカレンダーや広告に採用になったものもいます。そして様々な企業とのコラボも日々増えて行っています。

 

 そして最初の課題でもありました結婚・出産後の現場復帰も徐々に行われ始め、出産した4名が既に現場に復帰しています。

 

 彼女たちが明らかに他と違う結果を出しているその最大の要因は、全員が“アートマネジメント”を学習したと言う事です。欧米の美術学校では1960年代から始まっているこの“アートマネジメント”の授業が、日本のアカデミーではタブーとされています。これを自動車教習所に例えるなら路上教習の無い教習所と言うことになってしまいます。知識と技術を身に着けても社会でそれを活かす術を知らなければどうにもなりません。欧米と日本の美術教育の決定的な違いはここです。日本で長い間、美術家は美術をやっている人という認識に留まり、作品収入で暮らしている人という意味に捉えられなかった一番の原因がここにあります。

 

 美術家も社会の中の一つの職業で、これは世界では常識です。ところがこの常識が日本では通じません。欧米的なアーティストの自覚とスキルをもったのが彼女たちで、そしてそれは次の世代へと受け継がれて行くでしょう。 子供たちは憧れをもってその世界へ参入します。著しい世代の違いは子供たちからリアリティーを奪います。子供たちにとって憧れの対象は常に「少しお兄さん・少しお姉さん」なのです。

 

 それは同時に努力すれば手が届きそうな存在でもあります。憧れの対象は最初に追いつき追い越したい対象(ライバル)でもあるのです。日本の美術業界が停滞したのは次世代への憧れを育むような若いスターを出さなかった事です。

 

 そしてそれを一気に解決したのがEGCでした。EGCはこれまでに22回の展覧会を行いましたがそこで1500点以上の作品を販売するに至りました。日本では絵画を飾る人が少ないと言うのは間違った認識で、値段さえ見合えば絵画を飾りたいと思っている人は多かったのです。

 

 EGCは日本の美術業界の枠から飛び出し、しがらみの無い場で全く新しい考え方と方法で展開して行っています。EGCは次世代の憧れの対象となり、そしてEGCの現役メンバーは卒業しソロで活躍している先輩を目指して努力を続けます。全員が仲間であり、そして最も手強いライバルでもあるのです。

 

 一見、EGCは若い女性を集めたイベント的なものと解釈されがちですが「作品収入での経済的な自立」や「結婚・出産後のアーティストとしての現場復帰」、そして「次世代への現実的な夢の提供」を担った硬派なユニットと言えるのです。           

 

 

             2019.7.4. EGCプロデューサー 與倉豪

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2010年 第0期
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